健康診断で「赤血球の数が少ない」と指摘された場合、単なる貧血と軽視するのは命取りになる可能性がある。循環器内科専門医の藤井崇博氏によれば、赤血球減少の背景には胃潰瘍や婦人科疾患、さらには造血機能の異常など、深刻な病気が潜んでいるケースがあるという。特に慢性的な貧血状態を放置すると、臓器への酸素供給が不足し、全身の機能低下や重大な疾患リスクを高める危険性がある
赤血球が少ないと体に何が起こるのか?
赤血球は血液中で酸素を運ぶ重要な役割を担っており、成人男性で420~554万個/μL、女性で384~488万個/μLが正常範囲とされる。これが減少すると、いわゆる「貧血」状態となり、めまい、倦怠感、階段を上る際の息切れなどの症状が現れる
しかし、問題は単なる疲れや体調不良ではない。赤血球不足が続くと、臓器や組織が慢性的な酸素不足に陥り、心臓に過剰な負担がかかる。さらに、貧血の原因によっては、胃潰瘍や子宮筋腫などの出血性疾患、または骨髄異形成症候群などの血液疾患が隠れている可能性もある
貧血の2大原因「出血」と「造血障害」
藤井氏によれば、貧血の原因は大きく2つに分けられる。1つは「赤血球が失われるケース」で、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、婦人科疾患(子宮筋腫など)による慢性的な出血が代表的だ。もう1つは「赤血球が作られにくくなるケース」で、鉄分やビタミンB12の不足、骨髄の異常などが挙げられる
特に注意すべきは、無自覚のうちに進行する「潜在的な出血」だ。消化管からの出血は便の色が黒ずむ(タール便)ことで気付く場合もあるが、少量の出血が長期間続くと、貧血が進行するまで自覚症状が出ないこともある。また、過度なダイエットや偏食により、赤血球の材料となる鉄分やタンパク質が不足するケースも増えている
健康診断の数値を見逃すな!「要再検査」の深刻な意味
健康診断で「赤血球減少」や「貧血疑い」と指摘された場合、まずは再検査を受けることが重要だ。特に、以下のような症状がある場合は、早急に医療機関を受診すべきである1:
- 階段を上るだけで息切れがする
- 顔色が青白く、疲れやすい
- 動悸やめまいが頻繁に起こる
- 爪が割れやすく、スプーン状に反り返っている(鉄欠乏性貧血のサイン)
検査では、血液検査に加え、必要に応じて内視鏡検査や婦人科検診、骨髄検査などが行われる。原因を特定し、適切な治療を受けることで、貧血の改善だけでなく、潜在する重大な疾患の早期発見にもつながる1。
今日からできる貧血予防&改善策
藤井氏は、貧血対策として以下のポイントを推奨している
- 鉄分をしっかり摂取:レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじきなど、鉄分を豊富に含む食品を積極的に食べる。
- ビタミンCと一緒に摂る:鉄の吸収を高めるため、柑橘類やブロッコリーなどビタミンCを含む食品と組み合わせる。
- 過度なダイエットを避ける:極端な食事制限は鉄分やタンパク質不足を招く。
- 月経量が多い場合は婦人科受診:子宮筋腫などの疾患が隠れている可能性がある。
- 定期的な血液検査:特に女性や高齢者は、年に1回は貧血のチェックを行う。
まとめ:貧血は「体のSOS」、早期対策で健康を守れ
「たかが貧血」と軽視せず、健康診断の結果を真摯に受け止めることが重要だ。赤血球減少の背景には、思わぬ病気が隠れている可能性があり、早期発見・治療が予後を大きく左右する。適切な栄養摂取と医療的ケアで、貧血を改善し、健康な血液を維持しよう
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