2023年、日本の富裕層・超富裕層が過去最多を記録した。野村総合研究所(NRI)の最新調査によると、純金融資産1億円以上の世帯数は165万世帯に達し、2005年の調査開始以来最高値を更新した。特に注目されているのは、「いつの間にか富裕層」と呼ばれる新たなタイプの資産家たちだ。
この「いつの間にか富裕層」とは、40代後半から50代の一般的な会社員が中心。年収500~600万円程度と特別高所得ではないものの、気づけば資産が膨らみ、「準富裕層」(5千万円~1億円未満)から「富裕层」(1億円以上)に到達しているケースが多い。NRIの推計では、153.5万世帯いる全体の富裕层の中で10~20%を占めると見られている。
この現象を支えているのが近年の株価上昇だ。NRIは「株式市場の好調さにより、資産運用を行っていた人々の金融資産が急拡大した」と分析する。
経済アナリスト崔真淑氏は「これはアベノミクスから続く流れだ」と指摘する。2013年に始まったアベノミクスでは株主還元強化や大規模金融緩和が実施され、株価上昇をもたらした。「これを受けて投資に関心を持つ人が増え、会社員でも持株会制度を活用して自社株を購入するケースが増加しました」と崔氏は説明する。
さらに2014年に導入された旧NISA(少額投资非課税制度)も若年层にとって重要なきっかけとなった。「積立投资で少しずつ築いた資産がいま大きく成長しているのです」と崔氏は語る。
他の調査機関でも同様に都市部を中心とした富裕层増加傾向が見られるという。「都市部には株式市場からの恩恵を受けやすい企業が多いことが影響している可能性がある」との見方も示されている。
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