東京大学のキャンパスを歩くと、どこからともなく聞こえてくる中国語。赤門前には中華料理店が並び、安田講堂前では中国人観光客が記念撮影をする姿が日常となっている。最新データによると、東大には3,545人の中国人留学生が在籍しており、全学生の12%以上を占める。特に大学院に限れば、実に4~5人に1人が中国人留学生という驚くべき状況だ。
この現象には明確な理由がある。日本の大学は学費が比較的安く、奨学金制度も充実しているため「コストパフォーマンスに優れる」と評価されている。さらに、中国国内の超難関大学に比べると東大の入学試験は相対的に「易しい」という現実もある。
日本政府も積極的に留学生受け入れ政策を推進しており、少子化による学生数減少への対応としても意義深い取り組みだ。国際競争力のある大学づくりという観点からは、むしろ歓迎すべき傾向と言えるだろう。
しかし一方で、「最先端研究情報の流出リスク」や「キャンパス文化の変化」を懸念する声も上がっている。特に問題視されているのが一部で見られる不正行為だ。
中国では全国統一試験(高考)において厳重な監督体制が敷かれているにもかかわらず、巧妙なカンニング用具が流通している現状がある。スマートグラスや特殊時計などのハイテク機器を使った不正防止のために会場では電波遮断や厳重な身体検査が実施される。
これに対し日本の試験会場は比較的緩やかな管理体制となっており、「監督アルバイトへの働きかけ」「替え玉受験」などの不正行為が発生する余地があるとの指摘もある。
教育関係者は「本来ならば学術交流として理想的な状況だが、一部の問題行動によって全体のイメージが損なわれるのは残念」とコメントしている。「適切なルール整備と相互理解こそが必要不可欠だ」との見方が強まっている。
グローバル化時代における高等教育機関のあるべき姿について改めて考えさせられる事例として注目されており今後の動向から目が離せない状況だ。