2023年シーズンを最後にピッチを去った元日本代表FW李忠成(39)が、新たな人生のステージで活躍している。20年にわたるプロサッカー選手生活で培った経験を糧に、現在はシンガポールを拠点に個人投資家として資産運用を行う傍ら、整骨院経営や次世代ストライカー育成プロジェクトなど多岐にわたる活動を展開。ユニークなセカンドキャリアの全貌に迫った。
都内某所のカフェで会った李は、現役時代と変わらぬ引き締まった体躯を見せつけながら笑顔で登場した。「サッカー選手には寿命があるけど、投資家には寿命がない」という言葉通り、現在は個人投資家として日々資産運用に励んでいる。キャリア終盤から金融市場に関心を持ち始め、証券アナリスト試験の参考書を読み込むなど熱心に勉強を重ねてきたという。「ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーのように死ぬまで現役でいられる世界が魅力」と語り、スタートアップ企業専門ファンドを設立した本田圭佑とも頻繁に連絡を取り合っている。
ビジネスマンとしての顔も持つ李は2012年から都内で整骨院「リハビリテーションクリニックR」を経営しており、今年で11年目に入る。開業当時は浦和レッズ関係者から「サッカーに集中すべき」と反対されたものの、「プレーで判断してほしい」と言い切って事業継続。「結果的に興梠慎三さんや槙野智章さんといった後輩選手たちがビジネスを始めるきっかけになったのは嬉しい」と振り返る。
こうした起業家精神はイングランド時代に見聞きしたことが原点にあるという。「プレミアリーグでは多くの選手が不動産投資などのサイドビジネスを行っていました。空いた時間を使って何をするか―それがプロ意識だと学びました」。チームメイトとの会話も常に経済や経営が話題だったそうだ。
しかし彼の中では常にサッカーへの情熱も燃え続けている。引退直後から開始したストライカー育成プロジェクト「点取り屋」では全国47都道府県巡回計画のもと指導活動を行っており2024年だけで15都市での開催実績がある。「小学4年生だった僕も釜本邦茂さんのシュートを見て衝撃を受けたように今度は僕が子供たちへ本物を見せたい」。自身も週5日のトレーニングを通じて身体能力維持にも余念がない。
さらに東南アジア在住日本人選手へのアドバイザー業務やJリーガー個別指導(昨季東京V木村勇大)、テレビ解説など多方面での活躍ぶりだ。"ボレーの人"と呼ばれる2011年アジア杯決勝オーストラリア戦での伝説的ゴールについて聞くと、「今でも知らない子供たちから声かけられるんですよ。本当ありがたいことです」。最後にかけた言葉こそ彼らしさを示していた―「死ぬまでサッカーに関わり続けますよ!」
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