富山県射水(いみず)市の道路沿いに立ち並ぶ「Used Car」の看板。ここには、日本に暮らす約2万人のパキスタン人の多くが関わる中古車ビジネスの活気あふれる光景が広がっています。
特に巨大な輸出港を擁する射水市には528人のパキスタン人が居住し、一大コミュニティを形成。その規模から、地元では親しみを込めて「イミズスタン」と呼ぶことも。しかし、この異文化共生のストーリーは決して平坦な道のりではありませんでした。
摩擦から信頼へ——小さな歩みの積み重ね
1990年代に始まったパキスタン人の移住当初は、生活習慣の違いによるトラブルが頻発しました。ゴミ分別文化がない母国とのギャップから、不適切なゴミ処理が問題に。
コミュニティリーダーのベーラム・ナワブ・アリさん(62歳)は当時を回想します。
「ウルドゥー語版ルールブックを作成し説明会を開催。駐車や騒音問題にも丁寧に対応しました」
日本語挨拶運動や共同パトロール実施に加え、東日本大震災や能登半島地震では被災地支援としてカレー炊き出しを実施。「見た目は外国人でも心は日本人です」という言葉には深い思いが込められています。
越えられない制度の壁——流出する人材
永住権保持者でも選挙権がない現実。日本育ちの若者たちも就職時に外国人扱いされるケースが多いといいます。
ベーラムさんは苦渋に満ちた表情で語ります。
「優秀な若者が制度の問題で海外へ流出しています。これは誰かのせいではなくシステムそのものの問題なんです」
宗教慣習と地域社会のはざまで——土葬問題浮上
"地域安全会"代表・大森利昭さんは墓地問題について警鐘を鳴らします。
「土葬希望者が事前協議なく土地購入する事例がありました。宗教的事案への行政介入難しく住民不安増加中です」
都市部と異なり地方自治体には異文化対応インフラ整備が追いつかない現実があります。
"イミズスタンモデル"構築への道程
[展望]
30年の歴史を持つこの街はいま、「多文化共生先進地」として新たなステージへ。
- (1) 官民連携による多言語サポート体制強化
- (2) 次世代教育プログラム開発
- (3) 国際交流施設整備など具体策提言
[編集後記]
"共生"という美しい言葉の裏側にある試行錯誤こそ真価である――取材を通じ痛感したのは、「完璧なモデルなど存在しない」という事実。「イミズスタン」実験区に見る小さな成功事例一つ一つこそ未来への礎となるのです。
-記者ノートより-

(イメージ写真:市内の中古車販売店前で談笑する日系・パキスタン人社員たち)
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